最近の一枚

絵画 水彩 水彩画 桜桃忌 ・太宰治・船橋・割烹旅館玉川

桜桃忌 ・太宰治・船橋・割烹旅館玉川

S M ペン・水彩・水彩紙

6月19日は太宰治の「 桜桃忌 」である。太宰治と聞いて、千葉県船橋市を思い 浮かべる人は少ないと思うが、太宰は、回想記「 十五年間 」の中で、船橋を 次の様に記している。 「以上挙げた二十五箇所の中で、私には千葉船橋町の家が最も愛着が深かった。 私はそこで、「ダス・ゲマイネ」というのや、また「虚構の春」などという作品 を書いた。どうしてもその家から引き上げなければならなくなった日に、私は、 たのむ! もう一晩この家に寝かせてください、玄関の夾竹桃も僕が植えたのだ、 庭の青桐も僕が植えたのだ、と或る人にたのんで手放しで泣いてしまったのを 忘れていない」 太宰が住んでいた借家は現存しないが、夾竹桃は船橋市民文化ホール前の広場に 移植されている。この船橋時代に、太宰が船橋の老舗「割烹旅館玉川」に20日間 ほど宿泊し、宿泊飲食代が払えず、持っていた書籍と万年筆を女将に渡して許して 貰ったという逸話が残っている。その旅館もこの4月に閉館となった。建物は解体 されるという。古く立派な木造建築なので壊すのはとても惜しい。 私は一昨年、電柱に寄りかかりながらスケッチしたことを思い出す。描いておいて 良かった。

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